プラナカン博物館 ガイドツアー プラナカンのルーツと文化

プラナカン博物館の英語のガイドツアーに参加してきたので、ガイドで説明してもらった内容と後で調べた内容をまとめます。

ガイドツアー開始時間などはこちらを参照ください。

ツアーは建物は行ってすぐ、チケットを購入するカウンターの前で集合してボランティアのガイドさんが館内を案内してくれます。

1階 プラナカンのルーツ

1階入って左手の展示ルームの壁にはたくさんの人物の写真が飾られています。

 

特にシンガポールで「プラナカン」という言葉を使うときは中国の福建省からきた中華系プラナカンを指す場合が多いですが、そもそもプラナカンという言葉はマレー語(インドネシア語)で「子供」を意味するanakという言葉から派生した言葉で、貿易のために中国やインドなどから来た商人がシンガポールを含むマレー半島で現地の人との間に生まれた子供たちの子孫のことを指すそうです。

そのため、プラナカンは中華系以外にもインド系プラナカン(Chitty Peranakan)やインド系プラナカンの中でもムスリムのプラナカン(Jawi Peranakan)、ジャワ系プラナカン(Javanese Peranakan)も居て、この様々な人物の写真はそういったプラナカンの多様性を表していて典型的なプラナカンというのを決めるのは難しいそうです。

ただし、チャイニーズプラナカンが一番成功したため、この博物館でも中華系のプラナカンの歴史を中心に紹介しているそうです。

また、東南アジアの帆船の時代の貿易は、東南アジアのモンスーンの状況で風の向きが変わり、3ヶ月程度で季節が変わるため一度品物を持ってきた商人たちは一度来たら風の向きが変わるのを現地で待ち、その待ってる間にセカンドファミリーを現地で持ち始めたというのがプラナカンの始まりという話をしてくれました。

この写真はプラナカンの家族のものですが、男性は中国式の服装なのに男性のボトムズとシューズが西洋の洋服になっていて、女性はBaju Kurungというマレーの着物を着ており、様々な文化が組み合わさっていることがわかります。

プラナカンの工芸品の特徴

プラナカンは商人が多く、様々な工芸品を作りました。その中でも特に特徴的なのがビーズ細工と陶器です。

ビーズで作られた婚礼シューズやハンカチ、ポーチで、これはニョニャと呼ばれるプラナカンの女性達は元々中国の鮮やかな刺繍やインドの金糸や銀糸を使った立体的な刺繍の技術を持っていたそうですが、それと植民地だったイギリス人が持ち込んだクロスステッチの技術とヨーロッパからの極小ビーズが融合したものだそうです。

中国には元々ビーズ文化はなく、ヨーロッパのビーズ細工とも違ったプラナカンのビーズ細工は一つのユニークな特徴になっています。

また、ニョニャは子供の頃から料理などの家事とともにビーズ細工を母親から習っていて、このビーズ細工は婚礼の際にデザインや配色からセンスの良さを、規則正しく揃ったビーズからは忍耐強く正確性のある女性であることを証明するものとして婚姻先の家族から見られるので、ビーズの技術はとても重要なものだったそうです。

この写真はビーズ細工のシューズですが、つま先のデザインがミッキーマウスになっていて、ここからも欧米の文化が影響していることがうかがえます。

プラナカンの陶器の特徴は色合いで、中国陶器はカラフルじゃなくシンプルなものが多く、華やかなパステルカラーのプラナカンの陶器もプラナカンの特徴の一つです。

下記の写真のゴールドベルトはインド系プラナカンの品物で、インドは金が好きなのでインド系のプラナカンを中心に金細工の工芸品も流通していたそうです。

こちらはキリスト教の聖書ですが、植民地でキリスト教が入って来ていて、一部のプラナカンはクリスチャンになり、この本はマレー語に翻訳された聖書だそうです。

2階 ビーズのテーブルクロス

2階に上がると20世紀前半にペナンで作られたビーズでできた大きなテーブルクロスが展示されています。これは中華系プラナカンのウェディングで使う特別なもので100万粒以上の細かいビーズが使われており、近づいてビーズを見るとビーズのカットの角度がそれぞれ違っていてきらきらと光っています。

テーブルクロスの柄に多くの昆虫がいるのは、昆虫は多くの子供を生むので繁栄を願って、特に蝶は2枚の羽根を重ね合わせる様から良縁に恵まれるとして結婚生活が幸せになるようにとの願いと、中国語の蝶の発音の”ディェ”が80歳を表す耋という中国語と発音が同じ事から、長寿を願ってという思いも含まれているそうです。

また、こぼれ話としてプラナカンのビーズは植民地時代にチェコスロバキアなどからもたらされたものですが、今では使っているこのビーズはアメリカにしか在庫が見つからないという話もありました。

ガイドツアーの続きは次回に続きます。