マーライオンの由来

シンガポールのマスコットと言えばマーライオンですが、この由来を解説させていただきます。

シンガポールとライオン

7世紀頃シンガポールはトマセック(Temasek)と呼ばれており、当時の言葉で海の町という意味でした。

11世紀にスマトラ島の王族のサン・ニラ・ウタマがシンガポール島を目指して航海した際に、途中で海が激しく荒れ、王族の王冠を海に投げ入れたところ、海が静まり無事に上陸でき、その際に不思議な生き物を見つけ、それはライオンであると教えられた為、その土地をサンスクリット語のライオン(Singa)の町(Pura)という意味のSingapuraと名付けたそうです。
また、現在のシンガポールという国名の由来もここから来ているそうです。
※ただし、シンガポールにはライオンは生息しておらず、王子が見たのは虎だったと言われています。

現在でもシンガポールの象徴が獅子であるのはこのことから来ている様です。

※マウントフェーバーパークにシンガポールの歴史を描いた壁画があります。ただし、後述するように下半身が魚になったのは後世の創作の様なので、サン・ニラ・ウタマが下半身が魚のライオンを見たわけでは無いようです。

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ライオンの下半身が魚になった理由

1964年にシンガポール政府観光局の設置に際し、バンクリフ水族館の館長フレーザー・ブルーナーがこのライオンの伝承を元に、シンガポールが昔海の街(トマセック)と呼ばれていた事から、フランス語で海を意味するMerを組み合わせてマーライオンをデザインし、最初はシンガポール観光局のロゴマークとして利用されていたそうです。(ロゴとしての利用は1997年までだそうです。)

このときライオンと海のイメージを掛け合わせてライオンの下半身が人魚のように魚になっているマーライオンが生まれました。
※ちなみにですが、マーライオンは雄だそうです。

<当時のロゴ>

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マーライオンの彫像の設置

その後シンガポール国立大学の副学長 Kwan Sai Kheongによって、彫像の設置が企画され、シンガポール政府観光局が費用を負担し、シンガポールの彫刻家 Lim Nang Sengによって、総額165,000ドルをかけて高さ8.6m、重さ70トンの巨大な彫像が制作されました。

1972年9月15日、シンガポールの初代首相リー・クアンユーによって除幕式が行われ、今のエスプラネード近くのシンガポール川の河口に設置されました。
しかし、設置後にエスプラネード橋がかかって、正面から見えなくなったり、ポンプの故障で口から水を吐かなくなったりしてしまい、この頃に世界三大がっかりの一つに数えられてしまったようです。

<昔のマーライオンです正面を見る事が出来ず、水も吐いていません。>

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2002年5月8日に海際に新設されたマーライオン公園に移転され、9月15日には正面から見えるように桟橋もつけられました。その際にマーライオンの後ろに設置されている2mのミニマーライオンもLim Nang Sengによって制作されました。また、一時故障していたポンプも修理され、口から水を吹き出す今のマーライオンの姿になりました。

公式には現在5頭のマーライオンがシンガポールに居るようで、シンガポールのマーライオン一覧にまとめてありますので、こちらもご確認下さい。

今ではライトアップも豪華で、マリーナベイサンズを正面にしたビューはシンガポールを象徴するものになっています。
今では世界三大がっかりの一つと言う人はいないのではないでしょうか?

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