プラナカンの食器などを展示したコーナを過ぎると次はプラナカンの宗教についてのてんじがあります。
プラナカンの宗教
プラナカンの宗教は商売でシンガポール、マレーを訪れた商人が現地で家族を持ち始めたという背景から基本的には父親側の宗教を受け継いでいました。中華系プラナカンが多いので、中国の道教や仏教、祖先崇拝や民間信仰が融合したもので、前回ご紹介した結婚式もそれに従います。
※ちなみに中国の儒教は一夫一婦多妾制とも呼ばれる一夫多妻に近いもので、その中でも特別な本妻はそれを証明する結婚証明書をとても大切に保管していたそうです。
チャイナタウンなどでよく見かけるこれらの像は道教の神様だそうです。
こちらは祖先を崇拝するための祭壇で祭壇の前に飾られてる食器はこの家族の特注品で家族のつながりを表しているとのことでした。
別の展示でも家族の名前(姓)入りの食器をそろえたりと、食事を大切にするプラナカンでは食器が家族のつながりを象徴するものだったみたいですね。
また、プラナカンとして植民地だったマレー半島で生活するにつれて、クリスチャンに改宗する家族も居たそうで、こちらのようなキリスト教の祭壇や1階の展示にあったようなマレー語の聖書なども出回っていたそうです。
プラナカンのお葬式
ここではお葬式関係の展示があるコーナーの入り口にこんな写真があり、注意を呼びかけていますが。
このコーナーは家族の泣き声が終始聞こえていたりとここだけ空気が違います。
ガイドツアーでもこのコーナーに入る前に、「これからお葬式の展示に入りますが、気にされる方はこちらでお待ちください」と配慮がありました。
展示は棺と葬式に関係する衣装の展示と小さいものでした。
コーナに入るとまず目に飛び込んでくるのがお葬式の棺と祭壇が飾られています。
棺はもちろん実際に使われたものではなく、イミテーションのものですが、これが博物館に届けられたときに職員が中を見てなにも入っていなくてびっくりしたそうです。
もちろん入っているのも間違いなのですが、空の棺は縁起が悪いということで必ず木片などが入っているようにするそうで、それで職員の方がびっくりしたそうです。
今は何か木片が入っているとのことで安心していいとのことでした(笑)
棺の裏手にはお葬式関係の装飾品や衣類が展示されていました。
ガイドの方から「喪に服す期間はどのくらいかわかりますか?」と質問があり、中華系の人が49日と答えていましたが、プラナカンでは特に両親が亡くなったときには3年間喪に服すとのことでした。
49日は死後の地獄における亡者の審判の期間ですが、プラナカンの3年というのは子供は生まれて3年間は特に手がかかるので、その感謝の意味も込めて特に両親が亡くなったときには3年間喪に服すそうです。(これは儒教の考え方だそうです)
喪に服す期間はここで展示されているようなシンプルな服を着ることになって、展示にあるように最初は麻布の質素な服からだんだんと色が明るい服をきていくそうで、喪に服す期間が終わったら家に赤い布をかけて喪に服す期間が終わったことを知らせるそうです。
また、プラナカンでは青や緑色の服は喪に服している期間に着る色なので普段はこの色の服は着ないそうです。
展示室の出口にも喪に服している期間が終わったことを知らせる赤い布がかかっています。
また、展示にあるような銀とパールの装飾品はプラナカンではお葬式の時につけるものなので、プラナカンの結婚式に行くことがあれば銀やパールの装飾品をつけないように気をつけましょう。
ガイドツアーは以上で終了となります。1時間を少し超えるくらいの長さで、展示物を一つ一つ丁寧に教えてくれるので、あっという間でした。