Maxwell Food Centerといえばチキンライスが有名で、お昼時にもなると天天海南鶏飯の横には他のホーカーでもちょっと見ないくらいの長い行列ができています。Maxwell Food Centerは何件もチキンライスのストールがあり、ちょっとしたチキンライス激戦区でもあります。
ところで、天天海南鶏飯の3件向こうに阿仔海南鸡饭というよく似た看板のチキンライスのストールがあり、どちらのチキンライスなのか迷った方が居ると思います。
実は阿仔海南鸡饭は2012年3月に天天海南鶏飯で20年以上勤めていたWongさんというスタッフが何人かのスタッフを引き連れて開店したお店で、どうやら1代目の社長から引き継いだタイミングで、2代目の社長の店の組織化の方針と、昔気質のベテラン調理師のWongさんのそりが合わなかったようです。
こうして、経営戦略重視の人気チキンライス店の2代目社長と、味のこだわりが強いベテラン調理師の漫画にでもありそうなストーリーのチキンライス戦争が勃発し、シンガポール最大の新聞社のThe Straits Timesがセンセーショナルに報じたことでシンガポール中がこの話題で持ちきりになりました。
※この記事冒頭の写真は当時の写真の見出しです。
実はこういう事例はシンガポールでは珍しくなく、ロバートソンキーで日本人好みの台湾中華が食べれる事で、飲み会の日本人でいつもごった返している三錦という店も、元は同じロバートソンキーの三国演義という店の調理師が離反して、同じロバートソンキーの目と鼻の先に開店したお店です。
今では三国演義は閉店し、三錦は多くのお客さんで賑わっているので、こちらは結局独立した側の勝利で終わったという事でしょうか。
話を天天海南鶏飯と阿仔海南鸡饭のチキンライス戦争に戻すと、阿仔海南鸡饭がオープンした2012年3月時点では、やはりベテラン調理師が独立してできた阿仔海南鸡饭の方が味が勝っているという評価だったのですが、今では天天海南鶏飯の行列の方が何倍も長く、旅行雑誌でも紹介されるのは”天天海南鶏飯”の方になっています。
やはり、天天海南鶏飯の戦略重視の経営の方が広告力や支店展開で勝っていて、三錦の例とは違って味の違いが出しにくいチキンライスだと、いかに味で勝負と頑張ってみてもなかなか難しいのかもしれません。実際両方を食べ比べしてみても、目隠しされたら判別出来ないくらいです。
ちなみに今ではどちらがどちらの看板か近くで見ないと見分けられないですが、オープン当初は一目で別店舗とわかる看板で、いつの頃からか天天海南鶏飯そっくりの看板に変わっています。
ここまで似せていると看板を真似てあわよくば間違えた客を拾おうという意図も感じられ、その時点でこのチキンライス戦争は天天海南鶏飯の勝利ですでに終わっているとも感じられますが、いかがでしょうか?